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泉美木蘭
2016.3.19 20:45

空手道。「堂々と日本語でいけばいい」


知人が空手の世界チャンピオンだった。

はじめてお会いしたときは、そんな自己紹介は一言もしておらず、
一緒にいた先輩が、ちらりと「彼はチャンピオンなんだけど…」と
言うのを耳にしたぐらいで、なんのチャンピオンかはわからなかった。
恐縮して先輩を立てていたようで、自分のことを話さなかったからだ。

3年もたって、ようやく「空手の世界チャンピオン」だとわかり、
しかも、世界選手権を6連覇もしている空手道の超スーパースター
だったということがわかった。
名前を検索したら、思わず印刷して額に入れて高い場所に飾りたく
なるような道着姿や、試合の映像などが出てきて驚いた。
「そんな凄いんだったらもっと早く教えて下さいよ!」
と言ったら笑っていた。
ユーモア満載で、笑い話ばかりしていたので全然わからなかった。
そりゃ、道を究めた人は、自分から「私は道を究めているんです」
とは言わないよね。

「20年間、日の丸を背負って、闘いに勝ち残らなければならなかった。
あの重圧は尋常ではなかった。正直、戦争に行く人々はこんな気持ち
ではないかと感じた。負けたら死ななければいけないと思っていた」

現在は世界70か国を飛び回り、各国のナショナルチームの指導者
として
活躍しているのだけど、どこへ行っても指導は
「片言の英単語ぐらいは使うけど、ほぼ日本語」
という話が印象深かった。
指導する相手が、英語でもロシア語でもイタリア語でもスペイン語でも、
日本人の世界チャンピオンとして、日本語で堂々と指導すれば、
生徒のほうがなんとしてでも理解しようと全身で聞くのだそうだ。

「そもそも、『空手』は世界中で『KARATE』だし、畳はTATAMI。
一段、二段のDANに、SHIDOU(指導)、KATA(型)、BUNKAI(分解)、
SENSEI(先生)と、空手の世界では日本語が使われているんです。
だから堂々と日本語で向かっていけばいいんですよ。
こっちが本気だから、どの国の人も、真剣に聞こうとします」

実際の彼の指導風景の映像を見た。
いろいろな国の生徒に『センセイ』と呼び掛けられていた。
かっこいい日本人だと思った。
堂々と日本人でいたい。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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